後編:東京は夢を叶える街

エベレストの様に世界中の人々を魅了するネパール料理店を目指す「エベレストダイニング浜田山」。ネパール、インド、チベットを始め、様々な地域のスタイルを絶妙にミックスしたユニークな料理はもちろん、更にユニークなキャラクターの店主、ビクさん。その魅力を探るべくビクさんにお話を伺った。インタビューは前編・後編で公開。

 

“全国で1つしかないファンが集まる部屋”

 

— 店内を見回してみると、アニメのポスターが沢山貼ってありますね。

 

今まで、アニメは子供のものだと思っていましたが、日本に来てから、子供だけのものではないと思うようになりましたね。子どもから大人まで、おじいさん、おばあさんまで興味をもっていますし、テレビのアニメ番組もいっぱいありますよね。

 

私の子供がアニメ好きで。絵が好きで絵を描いたりしています。ポケモンや妖怪ウォッチなどのゲームでよく遊んでいますよ。

 

私が子供の頃は、日本のアニメについてはあまり知らなかったですが、今、日本のアニメはネパールでも人気があるみたいです。コスプレなども、ネパールで流行ってますよ。日本の文化と言ったら、まずアニメだと思います。

 

写真:お店の入り口にはテレビアニメ作品「イナズマイレブン」(T-Pistonz+KMCのサイン入り)のポスターが貼ってあり、訪れるファンを迎えてくれる

 

— 店内にポスターが沢山貼られている部屋がもう一部屋ありますが、こちらは?

 

こちらの部屋は「TPKルーム」と呼んでいます。TPKはT-Pistonz+KMC(ティーピストンズプラスケムシ)というバンドの名前の略なんですよ。そのバンドの人たちのファンの部屋だから、「TPKルーム」という名前がついています。ファンにとって、このエベレストダイニング浜田山店というのは、「聖地」と呼ばれているそうです。お店近辺の人だけではなく、北海道から沖縄まで、全国からファンが集まるんですよ。このTPKルームは全国でここ1つしかないです。それがエベレストダイニング浜田山です。

 

— TPK(バンド)の皆さんもここに来るのですか?

 

もちろん来ます。彼らも東京に来た時はこの店で食事をします。ここでインターネットを通してライブ演奏をしたこともありましたよ。たまに、彼らのメンバーの代わりみたいな感じで、私が出た事もありました。

 

— ビクさんも、一緒に演奏されたのですか!

 

一瞬で入れ替わるみたいな感じです(笑)。衣装は全く同じですが、顔だけ入れ替わるみたいな感じで出させてもらいました。彼らにできることは協力したいと思っています。

 

写真:全国からファンが集まるというTPKルームの壁いっぱいに貼られた、T-Pistonz+KMCと彼らが主題歌を歌う「イナズマイレブン」のポスターやグッズ。

 

写真:ファンとの交流ノートにはバンドのメンバーからのメッセージも

 

“ネパール地震、そしてこれから”

 

— この10年の間に日本では大きな震災があり、そしてご出身のネパールでも震災がありました。ビクさんのブログを拝見したのですが、ネパール地震の際、すぐに被災地のサポートをする活動をされていましたね。

 

日本は地震大国と言われていますが、ネパールでも何十年かに一度、大きな地震が起こっています。当時日本で生活していましたが、たまたまその地震の前日までネパールにいました。そして日本に帰って来た日に地震があったのです。自分が生活していた家が崩れて、悲惨な状況を考えたら、非常に辛かった反面、そのまま1日でも遅れたら、自分もその地震で死んでいたかもしれない。とても複雑な気持ちでした。私は日本でも震災を経験し、状況を見て来ましたので、ネパールに対しても自分達ができることを、自分の飲食店を通して何かやれるんじゃないかと思って。金額は多いか少ないかは分からないですけど、できるだけ協力したいと思い、お店でチャリティーライブを行ないました。ネパールの地元に壊れた学校があったので、早速集まったお金を寄付しました。今も毎月、そのチャリティーライブを続けています。その活動を通して、少しずつですが、地元の方に貢献したいと思っています。

 

— 料理以外でも 将来挑戦してみたい事はありますか?

 

今は料理に携わっていますが、自分達ができる事は、料理はもちろん、言葉や文化で交流、発信して日本と世界を繋いで行きたいと思います。日本の良さを発信したり、海外の良さも日本に発信したり。そういう架け橋になるような仕事をしたいと思っています。

 

— エベレストダイニングというお店を通して、お客様に伝えたいことはどんなことですか?

 

エベレストダイニングは交流の場であり、食事をする場所であり、平和を大切にする場所だと思っています。料理を通して世界平和に貢献したいです。

 

写真:エベレストダイニング浜田山オーナーのビクさん

 

“東京は夢を叶える街”

 

— 東京でお店の経営をしてよかった事や難しかった事などありますか?

 

東京は物価や家賃も高いし、今は人手不足ということもあって、その辺りの厳しさがあります。あとはそんなに簡単には、お客様が来てくれませんので、それらのことを全て確保することは、非常に難しいですね。

 

でもいい点は、色々な所から来てくださるお客様と身近に接することができることです。私は接客が好きで、会話も好きだから、自分には飲食店が向いていると思います。自分に仕事が合っているか合っていないかということは、とても大事だと思っています。

 

— 東京以外の場所でお仕事をされたことはありますか?

 

私は、カトマンズ生まれ東京育ちで(笑)東京以外の場所では、生活も仕事もしたことがないです。でも旅行で日本の色々な場所に行ったり、食事をしたりするは大好きです。

 

— 最初から、東京で生活する事を考えていましたか?

 

ずっと東京で、その中でも杉並が大好きです。日本にきてから20年間、杉並から離れていません。東京には色々なものがあって、色々な人がいて、素晴らしい街だなあと思います。東京は治安がいいところだし、世界から人が集まるのは、東京は魅力ある街だからだと思います。ただ、皆さん忙しそうに見えます。

 

— 最後の質問になりますが、ビクさんにとっての「東京」って一言でどんな街ですか?

 

東京は「夢を叶える街」だと思います。

 

— ビクさんも夢を叶えましたね。周りにネパール人があまりいない時期に日本に来て、学生時代を送り、お店を経営する今まで、色々な事を乗り越え、お客さんと接して生き生きしているビクさんを見ていると、とても励まされます。お客さんが描いたビクさんの似顔絵やメッセージもいっぱいあって、お客さんに愛されているなあと思いました。

 

私は日本に来て、人生が全部変わりました。今でも日本に来て後悔した事は無いです。色々なことに挑戦できていますし、それなりに成果も出ていますので、日本に来てよかったと思っています。(完)

 

写真:ファンとの交流ノート。

 

写真:交流ノートには愛情たっぷりのメッセージやイラストが沢山綴られている。

 

写真:店内の窓にもお客さんからの素敵な似顔絵が!

 

写真:ビクさんとスタッフの皆さん。心のこもった料理で、温かく迎えてくれます。

 

Interviewed by Mayumi Sakai
Photo by Jin Yamaguchi

 

武田 座奈久 (通称:ビクさん)

エベレストダイニング浜田山店 オーナー/店長

ネパールの五つ星のホテルで料理の修行後、日本へ。日本語一級合格、日本の大学・大学院を卒業後、都内でネパール料理店を経営。現在はエベレストダイニング浜田山店のオーナー/店長。ネパールのエベレスト山脈の最高峰、エベレストの様に世界中の人々を魅了するネパール料理店を目指す。

 

 

店舗情報

 

エベレストダイニング浜田山

東京都杉並区浜田山2-19-7小林ビル2F

電話:03-3306-5525

営業時間:

ランチ: 11:30~15:30
ディナー: 17:00~23:00

定休日:火曜日

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