東京発のビール造り – はじめに –

東京は“愛する街”

株式会社 麦酒企画 代表取締役 能村夏丘さん(35)インタビュー

 

7月最後の休日。真っ青な夏空が夕日に照らされてゆっくりと赤く染まっていく。高田馬場駅を降り、駅前のメインストリートを5分ほど歩くと、 通りに面したウッドデッキで、ビールを片手に楽しそうに談笑する人たちが目に入る。見上げると、風に揺れている「BEER KOBO」(ビール工房)と書かれた手作りの看板が。「うわ〜、なんて気持ち良さそうなお店なんだ!」。取材前から、そこで飲む一杯のビールを想像し、心が躍る。お店の名は「高田馬場ビール工房」。

 

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写真:手作りの看板とウッドデッキ photo by ジン ヤマグチ

 

「ブルーパブ[1]」という言葉を、今ほど耳にしなかった2010年、東京は高円寺に、小さなビール醸造所が誕生した。その醸造所は、ビールが飲めるお店の中にある。醸造家がビールを醸造しているのを目の前で眺めながら、造りたてのビールを楽しめる場所だ。当時、「東京」で造りたてのビールといえば、大手ビールメーカーの工場見学に参加しないと飲めないものだ、と思っていた。まさか都内にある地元のお店で、目の前で醸造されたばかりの新鮮なビールが、これまた目の前のサーバーからグラスに注がれるようになるなんて。

[1]醸造所を備え、その醸造所で造ったビールを提供する飲食店

 

「ここでビールを造っているんだって!」お店に入ってくるお客さんが目を輝かせる。その日は、季節の果物、スモモを使ったビールをはじめ、6種類のオリジナルビールが迎えてくれた。またこのお店、手作りなのはビールだけではない。店内に設置されたウッドデッキやロフト風の客席などの内装も、従業員が手がけているという。

 

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写真:店の奥にはビール醸造所が併設され、店頭で提供するビールが仕込まれている。カウンターの後ろには、ビールが入ったタンクが並んでいる。photo by Mayumi Sakai

 

現在は、高円寺の他に阿佐谷、中野、荻窪、西荻窪、高田馬場にお店を構える「株式会社 麦酒企画」代表、能村夏丘(のうむらかきゅう)さん。今回、取材で伺った「高田馬場ビール工房」は最新の6号店。1号店の開店当初は、ご夫婦でビールの製造とお店を切り盛りしていたという。能村さんが目指すのは「街のパン屋さん」のような「街のビール屋さん」。地域の人たちにとって、街のビール屋さんが、その街の魅力の一部になれるような、そんなビール文化をつくりたいという。東京は高円寺から始まった、地域に根ざしたビールとお店造りへの思い、そして未来への夢を、能村さんに伺った。インタビューは全4話。隔週金曜日に公開予定。

 

 


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